建設省は一九九二年に実施した「マンション総合調査」の一環として、イヌ・ネコの飼育ルールについての調査をおこなっている。対象となった九八○管理組合において、イヌ・ネコの飼育を禁止しているものが五六.七%、ルールを定めているものが二二・○%で、これらを合計すると七八・七%である。管理組合細則で、ペットの飼育についてのルールが定められているにもかかわらず、エレベーター内に乗りあわせて、思わず身を引くような大きいイヌを飼っている居住者が存在する。とうぜんのことであるが、隣近所とのあいだでトラブルを引きおこし、訴訟にもちこまれるケースも増えている。このようなトラブルは、はじめてマンション住まいをする新築マンションの居住者に多い。原因は、管理規約の規定に気がつかなかったか、管理規約に規定がなかつたかのいずれかである。あるマンションでは、入居時の管理規約(原始規約)にペット飼育についての規定がなかったために、管理規約を改定してペット飼育を全面的に禁止した。そして、イヌを飼っていた区分所有者にイヌを手放すようもとめたが、拒否された。そこで、管理組合は管轄する地方裁判所に訴えた。裁判では、「規約の設定、変更または廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響をおよぼすべきときは、その承諾を得なければならない」とする区分所有法第三一条の解釈が争点になった。ペット飼育を禁止する規定をあとから設けたことが、一部の区分所有者の権利(この場合は、被告のイヌを飼う権利)に特別の影響をおよぼすかどうかである。